前回の更新(浮気・不倫に対する慰謝料1)に引き続き浮気の慰謝料に関して説明してみたいと思います。今回は皆さんが最も気になると思われる「慰謝料の金額」について、実際のケースも交えて書いてみます。

慰謝料の相場はいくらぐらい?

配偶者の浮気に対する慰謝料(精神的苦痛に対する損害賠償)の相場は50万円~300万円ぐらいが多いとされています。この相場は裁判で認められる慰謝料の相場であり、配偶者及びその浮気相手と示談での解決を試みようとする場合には前述の相場は必ずしも当てはまるという訳ではありません。

基本的に慰謝料の金額に関してはいくら請求しても問題はありません。例えば1000万円を超える慰謝料を請求することも自由です。

ただし、裁判になれば1000万円の慰謝料というのはほとんとあり得ない金額だと考えられます。過去数十年の浮気が原因による裁判記録を全て見たわけでもないので「あり得ない」とは言い切れませんが、あったとしても1000万円の慰謝料が認められるのはかなりレアなケースだと思われます。

浮気以外にDV(家庭内暴力)などが同時に行われていれば高額の慰謝料が認められる場合もあるかもしれません。

裁判になれば多くのケースで前述の相場内の慰謝料で決着がつきますが、弁護士へ依頼して配偶者及び浮気相手と示談に臨んだ場合に於いても、この慰謝料の相場は考慮されます。慰謝料の算定要素自体は裁判で考慮する要素と弁護士が考慮する要素に違いはありませんから、示談であっても相場の金額に近くなることは当たり前のことだといえます。

しかし、裁判と示談で慰謝料の金額が近くなるといっても示談の方が若干、慰謝料が高くなることが多いのも事実だと思います。勿論、裁判で100万円の慰謝料が示談なら1000万円になるというようなことはほとんど無いと思いますが、裁判で導き出される慰謝料の予想額よりも50万円~100万円多くなることは示談であれば十分考えられる範囲です。

慰謝料を請求される側としては、裁判を避けたいと考える人が多数派でしょうし、裁判となれば弁護士を雇うのが通常ですし、裁判に掛ける労力もお金も馬鹿になりません。

また、裁判で仕事を休むことを余儀なくされることもあるでしょうし、それにより身近な人達に自分の後ろめたい行為(浮気)が知られることになれば、自身の生活基盤が崩れる可能性もあります。そうであれば、相場より50万円~100万円多くても示談で話を済ませてしまった方が自分自身にとって都合がよいのです。

実際にあったケース

実際に私が関わった浮気調査案件で浮気の証拠を確保後に慰謝料の請求をした結果、相場よりかなり高い500万円の慰謝料をとったケースがあります。

依頼者は旦那様で対象者は奥様。奥様は某銀行に勤めており、浮気相手は奥様の上司(既婚)。上司は当該銀行である程度の役職に付いていて収入もそれなりにあったことと、勤務先及び上司の家族には浮気のことは内密にしてくれるのなら条件をのむということで決着したようです。

逆に少なかったケースでは、以前このブログで少し書きましたが肉体関係を最後まで認めなかったケース。どの案件も依頼者さまのご予算の都合上、1回の証拠確保が精一杯でした。

このケースは覚えているだけも3案件ほどあるのですが、いずれも慰謝料100万円ほどで決着しています。

ビジネスホテルに泊まった証拠が2案件、浮気相手の自宅に泊まった証拠が1案件で、この内のビジネスホテルの1案件は依頼者様が離婚をしないで慰謝料100万円を得ています。

100万円と言われると安めの慰謝料であると考えてしまいますが、依頼者様ご夫婦は20代のお若いご夫婦でしたし、そう考えると離婚をしないで100万円というのは妥当な金額といえるかもしれません。残りの2案件は離婚となってしまったので、依頼者様としては納得のいかない結果に終わってしまったようで残念です。

探偵・興信所は証拠を確保する所までしか依頼者様のお力になることが出来ません。やはりビジネスホテルや自宅での証拠の場合、複数回の証拠を確保して言い訳をさせないことが重症であると、改めて認識させられます。

更に続きます(浮気・不倫に対する慰謝料3)。